永遠の0
2013年 12月 12日
監督山崎貴 脚本山崎貴、林民夫
原作百田尚樹『永遠の0』(太田出版)
苦肉の策
原作は400!万部突破の大ベストセラーで私もタイトルくらいは知っていました。試写会場でも司会の方が原作読んだ事ある方訊ねたら結構な数挙手されてました。それだけ原作イメージを持ってる人が多いという事でハードル高くなりますが、原作読んでなくて言うのも何ですが結構よかったのでは?と。俳優はみなよくて文句なしです。
特に軍人パートの平幹二朗・橋爪功(濱田岳)・山本學(三浦貴大・ 田中泯(新井浩文)のキャスティングの見事さ、演技のうまさ!染谷将太も素晴らしかった。
あとこれが遺作となってしまった夏八木勲の演技が自然なのに心に残るというか「戦争では誰もがい色々な事を乗り越えて、でも普段はそれを表に出さずに生きている」みたいな意味(台詞だいぶ違いますが…)の事を言っていてすごく日本人っぽいなと思った。
不満点を挙げるとやっぱり三丁目の夕日の監督だからか感情表現がこれでもか!と大げさなので引いてしまうというか、劇中であんなに泣かれると見ている方は涙引っ込んでしまうわー。
あと小説原作とはいえ台詞で説明し過ぎ。監督にそこまで説明しなくてもいいよ!ちゃんと見てる方はわかってるよと言いたい。あと映画なんだから引きの画が見たいのに延々アップでちょっとげんなり。それと(多いな)音楽がうるさい!!!あっいいシーンだなと思っても延々音楽が鳴ってて余韻とか間とかがなくてこれまた勿体ない。
監督、サービス精神故だろうけど色々やりすぎなのでもう少し引き算してください…美味しい出汁だからって具を入れすぎると出汁の風味も吹っ飛んでしまいます。
空戦シーンは白組でガッチャマンに続きなかなか素晴らしかった。そりゃハリウッドのVFXに比べると画が軽いな〜と思うけど予算考えたらすごい画に仕上げていると思う。
零戦とか特攻とか年を取るにつれ見るのが辛くなる。ドラマ部分よりそういう場面が泣けた。
主演の岡田は役柄的にちょっと年過ぎ?と思ったけど昔の人は今より大人っぽかったのでちょうどいい位かも。主演だけどあまり出て来ないというか、周りの人が語る事によって浮かび上がる人物なので演じるのは難しかったと思うけどすごいいい演技。V6岡田の演技って見るの初めてなんだけどテクニックじゃなくて気合いとかで引きつけるタイプの俳優なんだなーと。
顔が現代的なので軍人役どうかな?と思ったけど雰囲気が戦中の人っぽかった。追い込まれた状態もラストの演技もちょっと目を離せないかんじです。原作と合ってるかは?だけどこの映画の主演としては素晴らしかったと思います。
映画としては回想と現代が行ったり来たりで流れが止まるというかラストに向って大きなうねりが生まれるとかではなかったので映画ならでは感動とかはあんまり…小説で読むのが一番感動するタイプの話だろうと思います。
あと不満はエンディングのサザン。軽い!アミューズの映画なのでサザンはしょうがないけどもう少し映画の内容に合った曲にしてほしかった。といって福山もな…。
あと散々見た予告で春馬が「ぼくのおじいさんの話をきかせてください!」って大人の男がおじいさんって…って、で嫌いな予告だったけど本編ではほぼ「私の祖父」って言ってるんだよね。なぜあの場面だけ「おじいさん」だったのか。中学生くらいだったらいいんだけどさ。
あとその予告の井上真央がすごいぶさいくな顔でストップモーションになってて気の毒だった。
岡田に赤ちゃん見せて笑顔、の感動シーンなんだけどスローにしたらとんでもないドヤ顔で…。本編ではちゃんといい笑顔だったので動画の不思議を感じました。
原作好きな方は読んでない人でも新旧よい俳優がたっぷり見られて、戦争の理不尽さもちゃんと描いてある、いい映画だと思うので是非!ってこんな書かなくても東宝だしジャニーズだしアミューズだし老若男女見られるしで結構なヒットになるね…