映画やあれこれ


by 7_7seven
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ジェシー・ジェームズの暗殺 The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford

今日から公開の「ジェシー・ジェームズの暗殺 The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford 」を見ました。予告の映像がめちゃくちゃ綺麗だったので見る気まんまんだったけど色々な批評読むと「長い。40分削れる」とかあんま評判よくない模様でまあ綺麗な映像見られるならいいやーと思って行ったら すごいよかった!映像は期待を遥かに超える美しさだし、長さも全然感じなかった。なんかオリジナルは4時間とかあるらしいですが、見てみたい。DVD買い決まりです。
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日本版と同じデザイン。この空と人物のコントラストも素晴らしいです

しかし他人に面白いよ!とおすすめ出来るかというと微妙…。まず日本ではジェシー・ジェームズの知識が全くないこと。自分も全くないけど楽しめたけど映画見た後色々情報を集めたところ、この映画の特長は今までヒーローとしてアメリカで親しまれてきたジェシーの暗部を描いているところ、さらにあまり描かれてきていなかった暗殺者側を中心に描いているところなどなど今までの西部劇からかなりかけ離れた演出なとこ。前に書いた「スウィーニー・トッド」が歌舞伎的な悲劇ならこっちはパンフレットにも書いてあった通りギリシア悲劇っぽい。

西部劇というより心理サスペンスでしかも誰にも共感出来ないように登場人物と距離を保った状態で演出してるので人物に感情移入して泣いたりってかんじでもない。平家物語っぽい群像悲劇というか栄華を誇った集団だったのが時が経つにつれ人の気持ちが絡み合い、お互いを疑い、裏切り、絶望し、死んで行く、崩壊のその顛末を淡々と描いている。それがマスコミや物語を通じて大勢の人に広がって別の物になっていく過程もにているかも。そこらへんが自分にはすごく面白かったけどそういうのが好きでない人には拷問かも。二時間四十分もあるし。

まずロジャー・ディーキンズの映像の素晴らしさ!ショーシャンクの空にでも素晴らしかったけど閉塞感の中の開放感を描くのが上手いと思う。今回も平原や空の自然の美しさとか絶品。ガラスの透明感とか光と影の描き方、特に列車強盗の場面とか見とれてしまいました。人物もそれぞれの人物の心の揺れを繊細にとらえていて素晴らしかった。

音楽はニック・ケイブで実際自分も出てて笑ってしまった。テーマが局長を変えながら繰り返し流れていて映像との相乗効果で悲劇性を増していた。
俳優はベテランにインディーズ系役者からくせ者揃えてて、サム・シェパ^ドもポール・シュナイダーもサム・ロックウェルもジェレミー・レナーもギャレット・ディラハントも皆うますぎ。当初ロバート役はトランスフォーマーやインディジョーンズ4で大ブレイクのシャイア君がやるはずだったらしいけど若すぎってことでケイシーに。でもケイシーの演技見たらよい選択だったと思う。この複雑な人物をすんごい自然に演じてて引き込まれてしまった。冒頭のタランティーノばりのボーイズトークっていうんでしょうか、男同士のバカ話で見事にそれぞれのキャラクターを表現しててすごいなと。男集団の独特の心理戦、カリスマリーダーへの媚びやへつらい、それぞれの駆け引きの演出のうまさ。兄のフランクみたいに始終落ち着いてたら対応も出来るけどジェシーみたいに普段はジョーク言ったりしつついきなりキレたりするタイプは一番始末悪い。ジョークに笑ってたらいつの間にかキレてたり、ヒヤヒヤ。しかも地獄耳だし疑心暗鬼になってたり怖すぎる。そういう集団の心理戦もとても上手く演出してあって見てて手に汗にぎった。自分だったら数分でジェシー怒らせるな…。ブラピのジェシーは34歳には見えなかったけどなかなかよかったです。死の直前の寂しそうな目の表情とか心動かされた。

ストーリーは暗殺後だれるだろうなーと思ってたら意外な展開で驚いた。今も昔もメディアの力はすごい!ジェシーの好かれっぷりに驚愕。そして大衆は自分たちでどんどんヒーローを選んでつくりあげていくんであって残念ながらロバートは大衆には選ばれなかったと。大衆に拒否られたものの独特のかなしみというか虚無感もよく出てた。しかし自分で殺して演じるって、これぞ自作自演ってやつですね。

監督のアンドリュー・ドミニクはエリック・バナ主演の「チョッパー・リード」の監督でブラピに絶賛されていた人。エリック・バナを「トロイ」に薦めたり監督と組んだり、ほんとに好きな映画らしい。しかしチョッパーでデブの連続殺人鬼演じてたエリック・バナをトロイでは王子役にキャスティングするんだからすごい。
製作はプランBとスコットフリー!なんでこれはもう「可能な限り監督の好きなようにやった映画」のお墨付きを得たようなものです。映画大好きっ子ブラピの面目躍如の作品でうれしくなりました。次回もがんばれ。
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by 7_7seven | 2008-01-12 02:52 | さ行の映画