硫黄島からの手紙 Letters from Iwo Jima
2007年 01月 04日
ミスティックリバーと同じく暗い画面。ヒロイックでない構図。
ミスティック・リバーでもそうだけどイーストウッドの映画は観た後ずーっと残るような、段々重たく感じてくるような作品を撮るなあと思ったけどこちらはかなり正攻法、でも淡々と死を描いていてその後から来る重さも一段とというかんじだった。これを見て爽やかに劇場を後にする人はあんまりいないでしょう。かといって号泣してある程度感情を発散できればいいけどそれも出来ないつくりで、イーストウッドが「物語にのめり込むことなく、かといってドキュメンタリーのような客観性もなく戦争を感じてほしい」という思いで創ったのではと思えた。
今までポール・ハギスという脚本家は負の表現がベタすぎて(特にクラッシュやミリオンダラーベイビー)上手いとは思うけどあんまり好きでなかったけどこれやカジノロワイヤルはほんとにすごいと思った。次作も注目。
軍人の振る舞いがおかしいとか素人の私でも?なところがあったけどアメリカ人がここまで日本の戦争を描いたのはほんとにすごいと思う。近頃の戦争映画って坊主でもなければ思想も「この時代にこんな奴いるかよ」の連続なだけに。
俳優は加瀬亮がうますぎ。目線や手の動きでどんな人物かわかる。謙渡辺はさすがの存在感だったけど芝居がどんどんでかくなっている気がするんだけどどうでしょう。あと二宮くんも上手かった。あんな軍人いなかったと思うけどさ。不満はバロン西。ただのあんちゃんになってて気品や知性がまったくなくて困った。
時間経過や戦術とかがよくわからなかったし、硫黄島の戦いはもっと悲惨(すぎて映像化出来なかった面もあるのかも)だったと思うんだけどイーストウッドが真摯な気持ちで作品を創っているというのはよく伝わった。次作も楽しみ。しかし地味すぎてアカデミーとかは候補になるの難しいだろうなあ。